なんでだろう?女性の「性」が語りづらい理由
性に関して自由になってきている時代とはいえ、やはり女性からセックスの話をしたり、セルフプレジャーの話を友達に話すのは気が引けてしまう…という経験をしたことはありませんか?本特集では女性の性生活へのタブー視について歴史などを絡めて解説いたします!

やっぱり女性の性はタブー視されている?

男性のマスタベーションアイテムが広く普及していたり、男性たちが自分の性生活を話しやすい環境がある反面、女性に関する性生活は他人に言いづらいのが現状です。

例えば、女性器のタブー視。男性器の呼称は冗談や笑いの意味を含んで、男女ともに言いやすい反面、女性器の呼称はどこか言いづらいことが多いです。病院に行った際に、自分の女性器について話さなくてはいけないときでさえ、「アソコ」とぼやかして言及するのがあたりまえになっていますよね。

また、日本の高校の保険の教科書には女性器の図解にクリトリスが描かれていないことがあります。オランダの中学の教科書にはクリトリスが描かれており、説明として「マスタベーションの際にここに触れて刺激する女性が多い」と書かれていたりするんですね。

やはり、義務教育課程での性教育も女性の性生活や女性器に対するタブー感が培われている原因になっているのでしょう。

原因①昔から根付く支配構造

歴史的に見ても、女性の性欲はないがしろにされてきました。

第一次世界大戦の際に、「富国強兵」「良妻賢母」などといったスローガンが打ち出され、男は強く、女はそれを陰で支えるという風潮が根付きました。

そして、女性は良き母であるためにも、「性」や「俗」については話さずに、おしとやかにいるべきだと考えられていたのです。そのため、女性の性はないものとされるか、男性に従属するものとして構築されてきました。

なので、セックスに関しては男性が支配するような力関係や、「セックスは男性から誘うべき」「男性は性欲が強いのは当たり前」「女性からセックスを誘うのは淫乱」といったステレオタイプが今でも根付いてしまっているのではないでしょうか。

原因②明治維新のせい?

日本の歴史をたどっていくと、江戸時代には男女ともに性欲に対するタブー視が少なかった傾向がみられます。

江戸時代に流行った性風俗画、春画では女性が自慰行為をしている姿が描かれていたり、春画もみんなから楽しまれるものだったのです。今でいうセルフプレジャーグッズも充実していました。

しかし、鎖国を経て明治維新を迎えた日本は積極的に西洋の文明や思考を取り入れたため、性に対する考え方も変わっていきました。西洋のキリスト教の考え方などに則って、性に関するものを取り締まるようになったのです。

しかし、現在の欧米ではセルフプレジャーをセルフケアの一つと捉えていたり、メディアでもビューティー、ヘルス、ライフといったジャンルの一つとしてセックスが扱われているなど、よりセックスに関してフラットな場面が見られます。

欧米では性についてタブー視するような風潮から脱出するようなこういった動きがある反面、日本ではいまだにステレオタイプが根強く残ってしまっているのです。

原因③性教育の少なさ

二つ目の理由としては日本の性教育の不十分さがあげられるでしょう。

まず、日本の性教育には子供の発達段階に応じた指導をするために設けられた「はどめ規定」というものがあり、受精に至る過程が取り扱われていません。

しかし、性教育の先進国であるフィンランドでは、カップルの交際から性交まで、また性交をするまえに同意を確認するところまで教育で取り扱っているのです。

性教育がしっかりと行われていないため、子供たちはネットやAV、友達から聞くあやふやな性に関する話しか情報源がなく、誤った知識を得てしまいます。AVは男性が女性に対して支配的であるシーンが多く描写されていて、それを主な「性に関する情報源」として見てきた人たちは性欲=支配欲を結び付けて考えてしまうこともあるんです。

「女性に性的快楽を与えるのは男性」というファンタジーの刷り込みがあるからこそ、女性が自分で快楽を求めたり、セックスではなくてセルフプレジャーで快楽を求めることに対する言いづらさがあるのでしょう。

どうしていけばいい??

しかし、フェミニズム運動などによって、どんどん女性のセックスにオープンな社会になっていることも事実です。

アメリカの女性解放運動の一つであった「性の解放」から影響を受け、日本でも1970年代ごろから「コミュニケーションとしてのセックス」として性的開放が語られました。

また、女性向け雑誌an・anでは女性目線のセックスが赤裸々に取り上げられていました。それが、2000年代後半になると、「モテ」ベース(どうやったら男性に満足してもらえるか)のセックスに関する記事が主流となりました。

現在は、ネットの普及によってセックスに関する情報は溢れています。例えば、「フェラ」と検索すれば、そのやり方から、どうやったらカレを満足させられるかが手順通りに、事細かく書いてありますよね。

ですが、それはセックスライフについてのただのテクニックの一つです。ネット上の記事に書いているような「セックスのあり方」にとらわれてしまうと、精神的な負担になりかねません。「セックスはコミュニケーション」以前に、自分の身体、性器は自分のものであって、誰かに支配されたり、誰かのためのものではないと意識すること、自分が感じる喜びを一番に考えることが大事なのかもしれませんね。

まとめ

いかがだったでしょうか。簡単に友達とセルフプレジャーの話がしにくかったり、男性を女性から誘うことが当たり前とされていないのには、歴史的背景や性教育の少なさに原因があるのかもしれません。

現在は、セックスや女性の性に対して、いろいろな考え方や情報で溢れています。それを正しいものとまるまる全部受け止めてしまうのではなく、自分の身体と考え方に合ったものを消化していってみてください。性欲も食欲や睡眠欲のように、「今はお腹いっぱい、今はお腹空いた」という流動的なものなのです。

ぜひみなさんも自分の性と向き合える時間を作って、「タブーなもの」という偏見を取り払いましょう!

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