キュートアグレッションって何?

キュートアグレッションとは、可愛いものを見た時に、その対象へ加虐的な衝動を持ってしまうことです。

例えば、赤ちゃんを見てほっぺをつねったり、軽く叩きたくなったりする衝動が当てはまります。ただし、実際に危害を加えることは、キュートアグレッションに含まれません。

自分はキュートアグレッションに当てはまるのか、キュートアグレッションを持つことは危険なのか、気になる方も多いのではないでしょうか?

ということで今回は、キュートアグレッションについて詳しく紹介していきます。


キュートアグレッションの実験について

「キュートアグレッション」という言葉は、2015年の研究によって出来た言葉で、最近になって遣われ始めた心理用語です。

キュートアグレッションを証明する実験を行ったのは、イェール大学出身の心理学者オリアナ・アラゴン博士の研究チームで、その実験内容は「対象者に可愛い画像とそれ以外の異なる画像を見せる」ことでした。

赤ちゃんの画像を見せた人の反応を調査したところ「可愛い」という感情と同時に「頬をつねりたくなる」などの加虐性のある回答があったそうです。

そしてその衝動を抑えるために「可愛い」と感じないであろう画像を見せ、その後に可愛いと感じる画像をもう一度見せると衝動がより顕著になったといいます。

キュートアグレッションが起こる原因は、まだ具体的には分かっていません。ただ、動物にも「甘噛み」をして愛情を表現する子たちがいるように、キュートアグレッションは人間だけではなく「愛」を持つ動物全てに当てはまる衝動なのかもしれません。

まだ解明されていないことも多いキュートアグレッションですが、今後の研究結果によって少しずつ明らかになっていくでしょう。

キュートアグレッションの具体例

可愛いと思う相手に「いじわるしたい」と思う衝動のほとんどは、キュートアグレッションに該当します。

では、キュートアグレッションの具体例を見ていきましょう。

・噛みたくなる
・叩きたくなる
・強く抱きしめたくなる
・髪をクシャクシャにしたくなる
・頬をつねりたくなる
・ぺシぺシ叩きたくなる
・食べたくなる
・ばかにしたくなる
・くすぐりたくなる
・意地悪したくなる
皆さんも、こういった衝動が好きな人や可愛いと思う対象に対して、湧いたことがあるのではないでしょうか。

ただ、キュートアグレッションは長く続くものではなく、実際に加虐することはありません。対象が傷つかないように自分の感情をコントロールできる衝動であることも、キュートアグレッションの特徴です。

コントロール時は、無意識に歯ぎしりや手に力を入れたり、ぬいぐるみや自分を強く抱きしめたりすることで衝動を抑えているといいます。

いかがでしょうか?あなたはキュートアグレッションの特徴に該当しそうでしたか?

キュートアグレッションの対象になりやすいもの
  1. 赤ちゃん
  2. 赤ちゃんの愛らしい様子に、ついぎゅっと抱きしめたり頬や髪をくしゃくしゃに撫でたくなる衝動は、キュートアグレッションに該当します。「もちもちのほっぺを食べてみたい」と、口に頬張るような行動もその1つです。

  3. 小動物
  4. 猫や犬、ハムスターなどの小動物が可愛らしく動く様子を見ると「可愛い」という気持ちがあふれて、お尻をペシペシ叩いたり、顔をくしゃくしゃに撫でたくなる人も多いのではないでしょうか。あの衝動もキュートアグレッションです。

  5. キャラクター
  6. ちいかわなどかわいそうな感じの愛らしいキャラクターやぬいぐるみが人気ですよね。いじめられて涙を流す様子を不憫に感じると同時に「可愛い」と感じてしまうのもキュートアグレッションです。

  7. 恋人
  8. 恋人を目の前にして、くすぐってみたり、甘噛みや両頬つぶしなどをした経験はありませんか?これもキュートアグレッションの一種です。可愛いと思うからこそ、つい意地悪してしまうのでしょう。

キュートアグレッションが発動しやすい人の特徴
  1. 情深い人
  2. キュートアグレッションが発動しやすい人には、情が厚く「好き」「可愛い」という思いが強いという特徴があります。情が深いだけでなく、熱意があって仕事や趣味に没頭しやすい人もキュートアグレッションになりやすいといわれています。

    もしかすると、母性本能や庇護欲が高まりすぎると、その反動で意地悪したくなるのかもしれません。

  3. ストレスが溜まっている人
  4. ストレスが溜まっているという人も、キュートアグレッションが発動しやすいといわれています。

    ストレスが溜まっている人は衝動的に行動しやすい傾向があります。そのため、感情のコントロールが上手くいかず、ストレスを発散したい感情と可愛いという感情が混ざってしまうことで、キュートアグレッションが起きてしまうのかもしれません。

  5. ふり幅の大きい人
  6. 感情のふり幅が大きい人ほど、キュートアグレッションが発動しやすいといいます。

    「可愛い」と「怒り」のような相反する感情がぱっぱっと切り替わりやすく、相反する感情を同時に感じているように錯覚している可能性があります。感情のバランスを取ることが苦手とも考えられます。

キュートアグレッションを持つ人は危険?
  1. キュートアグレッションは病気なのか
  2. キュートアグレッションは病気ではなく、誰にでも起こりうる感情です。脳機能の異常やサイコパスではありません。

    もしかすると「自分はSかもしれない」と思っている人も、実はこの感情が関係しているのかもしれないですね。

  3. キュートアグレッションで気を付けること
  4. キュートアグレッションは加虐性のある人を擁護する言葉ではありません。衝動性のコントロールやいじめの限度が過ぎると、DVや加害に繋がりかねません。実際に加虐してしまう衝動とキュートアグレッションを混同させるのは、控えた方が良いでしょう。

    また、キュートアグレッションの対象には、加虐行動に抵抗しづらい相手がなりやすい傾向があります。本人はキュートアグレッションの一つと思っている行動でも、周りから見れば虐待と捉えられる可能性もあります。

    可愛いからと衝動に任せて加害するのは控え、愛情をしっかり注いで、対象にストレスを感じない環境作りを心がけてみてください。

まとめ

キュートアグレッションは、誰にでも起こり得る感情です。

母性や庇護欲の反動とも考えられるため、キュートアグレッションがあるからといって過度に心配する必要はありません。衝動が行き過ぎて、実際に危害を加えないように気持ちのコントロールを心がけましょう。

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