エッセイとは?

エッセイとは、自由な文体で、自分が体験したことや思ったことを読者に向けて綴った文章のことをいいます。日本語では「随筆」と言うこともあります。

自分が体験したことや思ったことを書くのであれば、日記と同じなのではないかと思いますよね。

エッセイが日記と違う点は、読者がいるという点です。つまり、読み手への配慮として、構成や辻褄が合うように、分かりやすく書く必要があるということです。

今回は、そんな少しややこしいエッセイの特徴や書き方、就活エッセイについて詳しく解説していきます。では一緒に見ていきましょう。


エッセイの特徴
  1. 文体は自由
  2. エッセイで使われる文体は、形式を問いません。敬体という「です・ます調」でも、常体という「だ・である調」でも構いません。

    鍵括弧「」や段落のつけ方も自由で、読者に伝わりやすい表現であれば、思うように書くことができます。

    ~例~

    今日はとても体調が良かった。普段は食べるのに苦労する朝ごはんも、たくさん食べることができた。

    白米、
    わかめスープ、
    卵焼き、
    焼きじゃけ。

    いつもは焼きじゃけの皮を食べるのが億劫で残してしまうが、今朝は「すべて」食べることができた。

    焼きじゃけには、ちょっとしたトラウマがある。それは・・・・・・

  3. テーマは「自分に起きたこと」
  4. エッセイで書かれる内容は、自分に起きた出来事や経験談をもとに書きます。内容は自由で、恋愛や仕事、旅行、育児、趣味、食事などなんでも構いません。

  5. 独自の価値観が含まれる
  6. エッセイは、自分の視点で見たことを自分なりの価値観で伝えることが、醍醐味です。そのため、一般的な価値観や他者の意見が主題となることはなく、独特の感性や価値観を丁寧に綴ることができます。

    ~例~

    なぜ焼きじゃけの皮は、あんなに食べづらいのだろうか。そんな疑問が浮かんだ時、ふと過去の自分を思い出した。

    あれは小学生になったばかりのときである。母が作ってくれた焼きじゃけが食卓に並んだ。私が釣り好きだった父に頼み、川から釣ってきてくれたのだ。
    その時の私はとてもウキウキしていた。何を隠そう、私はまだ絵にかいたような焼きじゃけを食べたことがなかったのだ。

    父に頼んだのにはワケがある。クラスにいる女子が、教科書に出てきたスタンダードな焼きじゃけを見て、「朝ご飯は毎回、このイラストのような焼きじゃけだ」というのだ。
    そのときの私は、朝の食卓どころか、食卓にすら焼きじゃけが出たことがないということに劣等感を感じていた。

エッセイと「小説」「コラム」「作文」との違い
  1. 小説との違い
  2. エッセイと小説の違いは、自分に起きたことが題材となっているか、なっていないかにあります。

    小説は、架空の人物や歴史上の人物など、自分以外の人物が物語の中心となります。一人称で書かれていても、内容は筆者独自の体験記ではありません。

  3. コラムとの違い
  4. コラムとは、雑誌や新聞などで、多くの人が共通して知っている事柄を題材にして、短い評論や論理的な見解を述べる記事のことをいいます。

    エッセイと違う点は、筆者の意見を踏まえつつ、客観的な意見や明確な根拠を織り交ぜるところです。コラムは、エッセイのようにただ自分の意見や価値観を書くだけのものではないということです。

  5. 作文との違い
  6. 作文とは、文章で情報を伝えることそのもののことをいいます。つまり、作文という大きな枠組みの中に、エッセイや小説などが含まれるということです。

    学校で与えられる課題は、題材を与えられてそれに関する感想文を書くことが大半です。その点で言えば、エッセイと作文の定義には大きな差がありません。

    強いて言えば、エッセイはよりパーソナルなことを述べる中で読者が共感、感動できる内容を盛り込むことが必要となり、作文はそれよりも客観的な説明や意見を書くことを求められます。

エッセイの書き方のコツ
  1. 文体を決める
  2. エッセイの文体は自由です。「です・ます調」でも「だ・である調」でも構いません。どちらかに統一する方が圧倒的に読みやすいため、大抵の場合は統一されています。

    「です・ます調」は、語調が優しく丁寧な印象を与えるため、美しさや清潔感を演出したいときは「です・ます調」を採用すると良いでしょう。

    「だ・である調」は、比較的文章をまとめやすく、主張や意思の強さを強調することができます。多くのエッセイスト(エッセイを書く人のこと)が「だ・である調」を採用しているため、参考書籍を見ながら書く場合は「だ・である調」の方が、書きやすいと思われます。

    エッセイを書き始めると、途中で変えたくなるというのは、よくあることです。まずは、自由に書き始めて、読み返したときに調整するのも良いでしょう。

  3. 読み手を意識する
  4. エッセイが日記にならないように、説明の丁寧さと文章の分かりやすさを意識して書くようにしてみましょう。

    「デートに行った」という内容も、場所や天気、時間などの要素を加えて詳細に書いていくことで、物語のような面白さが出て、筆者がその時に味わった感覚を読者にも共感してもらうことができます。

  5. 量をこなす
  6. エッセイは、書けば書くほど、自分なりの伝え方や表現力が定着していきます。自由度の高い文章であるため、理屈で周りを固めてから始めるよりも、書いていく中で試行錯誤して面白さを上げていくほうが良いでしょう。

就活エッセイとは?

就活エッセイとは、エントリーシートなどで求められる作文やエッセイのことをいいます。

企業によっては、作文試験を行っているところもあり、企業はそれを基に、価値観や論理的思考があるかどうかを見ています。

では、就活エッセイで求められていることや書くべきこと、コツについて見ていきましょう。

  1. 就活エッセイで求められること
  2. 就活エッセイで求められることは、主に価値観や論理的思考があるかどうかです。履歴書だけでは分からない性格や特性を見極めようという意図があります。企業が求める性質ににマッチするかを見るため、企業理念を見て、求める人材に近いエピソードを探すのも良いでしょう。

  3. 就活エッセイで書くべきこと
  4. 就活エッセイで書くべきことは、個人的な価値観が反映されているような読者を惹きつける文章です。エッセイというだけあって、形式や技巧は一定レベル以上を求められません。

    それよりも、個人的な経験談をより詳細に書き記し、丁寧にそのときの感情や意見を述べることの方が重要です。

  5. 就活エッセイを書くコツ
  6. 就活エッセイでは、読み手に共感や驚きを与えられると好印象を与えることができます。かといって、奇をてらったことを書く必要はなく、少し「くすっ」とさせらればOKです。

    ただし、分かりやすさは必要です。まずはテーマを決めて、その次に作文や小論文を書くように、構成を考えてみましょう。

    ~例~

    ①テーマ
    ときどき「真面目な人は面白くない」と言う人と出会う。本当に、真面目な人は面白くないんだろうか。

    ②理由
    私は、自他ともに認める真面目な人間だ。目の前のことに一生懸命になれるし、論理だてて考えたいし、計画性だってある。そこにユーモアがないわけではない。少しおこがましいかもしれないが、自分の話で爆笑をかっさらうことだってあった。

    だから「真面目な人は面白くない」と言う人と出会うと、「自分が持っているユーモア精神はまがい物なんだろうか。いや違うはずだ。」と考え込んでしまうのだ。

    ③具体例
    以前、母と父、弟、自分の四人で長野へ家族旅行へ行ったことがある。(ここで真面目エピソードを述べる。)

    ④結論
    「そうか、私は真面目な人なのだ」と確信し、そして真面目であることに自信もついた。あの時、長野のおばあちゃんに出会わなければ、今も自分は真面目という言葉に抵抗感があっただろう。

    だから私は「真面目な人は面白くない」とは思わない。真面目と面白さは共存できるのだ。
参考になるおすすめエッセイスト
  1. 若林正恭
  2. お笑い芸人である若林さんの書く文章は、かしこまった文章でも「くすっ」とできる面白さがあります。思考の流れが丁寧に書かれていて、文章を読むのが苦手な人でも読みやすい文章となっています。

  3. 燃え殻
  4. 燃え殻さんは、Twitterなどに投稿していた文章に火が付き、一躍売れっ子となった作家さんです。日常の些細な出来事を多くの人に共感できるような題材として取り上げるその文章力は、圧巻です。

  5. 森見登美彦
  6. 森見さんは京都大学出身の小説家さんです。「この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ」というエッセイのようなブログを書かれていて、その語彙力と独特の表現力は笑わずにはいられません。

  7. 内定者エッセイ(講談社採用ホームページ)
  8. 講談社採用ホームページに掲載されている「内定者エッセイ」は、講談社に内定となった就活生たちが書いたエッセイが掲載されたページです。若々しい目線で書かれた文章は、これから就活生として作文やエッセイを書く人には必見の内容となっています。

まとめ

エッセイは、文章を使った表現を自由に楽しめるものです。普段書くいている日記も、読み手を意識して一工夫加えるだけで、ファンがつくほどのものになるかもしれません。ぜひエッセイを楽しんでみてくださいね。

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