十三夜とは、旧暦の9月13~14日の夜のことをいいます。
この日には、秋の収穫感謝をしながら月を愛でるという風習があります。皆さんも、一度はお月見とお団子の組み合わせを目にしたことがあるのではないでしょうか。
そう、月を愛でるのは十五夜だけではなかったのです。
十三夜が訪れる日は、こちらです。
2025年の十三夜:11月02日日曜日
十三夜は毎年同じ日に来るわけではないので、十三夜のときにつきを愛でるときは、事前に確認しておきましょう。
聞き馴染みのない十三夜ですが、十三夜にはどのような由来や風習があるのでしょうか。今回は十五夜との違いなど十三夜について、詳しく解説していきます。
目次
- 十三夜と十五夜の違い
- 十五夜はいつ?
- 十日夜について
十三夜と十五夜の違いは日付にあります。
十五夜とは、旧暦の8月15日の夜のことで、中秋の名月とも呼ばれます。十五夜は、十三夜と同じく収穫に感謝して月を愛でる日であり、お月見を楽しむ日です。
十三夜か十五夜のどちらか片方だけを愛でることを「片見月(かたみつき)」と言い、十三夜と十五夜を合わせて「二夜の月(ふたよのつき)」と呼びます。
また、十三夜と十五夜では月の見え方が異なります。十五夜の月の方が満月か満月に近い形で、十三夜の月は満月の一歩手前くらいの形をしています。
十五夜が訪れる日は、こちらです。
数字を見ると勘違いしそうですが、十五夜の方が十三夜より先に訪れます。
ちなみに十三夜や十五夜は、9月10月だけでなく、毎月の旧暦13日、15日の夜のことも指します。秋に月を愛でながら収穫を祝う風習が色濃く残り、主に秋の13日と15日が十三夜と十五夜と呼ばれています。
十五夜や十三夜の仲間に、十日夜というものがあります。
十日夜(とおかんや)とは、旧暦の10月10日に東日本を中心とした地域で行われる収穫祭のことで、感謝祭が主な目的であるため、月見の要素は十三夜や十五夜よりも薄めです。
十三夜、十五夜、十日夜の全てが晴天だと縁起がいいといわれています。気になる方は十五夜や十三夜と一緒にお祝いしても良いかもしれませんね。
十日夜が訪れる日は、こちらです。
- 十三夜の風習の由来とは?
- 十三夜の数え方について
- 閏9月にある十三夜について
十三夜にはお月見をする風習ができたのは、一説によると平安時代に醍醐天皇が開いた月見の宴が起源だといわれています。
平安時代から月を愛でていたことが分かる書物は多く、詩歌を楽しむ平安貴族たちが築き上げた風習だと考えられています。
旧暦は毎月、新月を起点に数えます。そのため、新月から数えて13日目が十三夜となります。
そして満月は、新月から14日目~17日目に訪れます。つまり、十三夜の月は満月よりも少し欠けた月で、十五夜の月は満月か、満月に近い月ということになります。
閏9月(うるうくがつ)とは、旧暦で数えたときにできる二度目の9月のことをいいます。
閏9月は、太陰暦と太陽暦の差を埋めるためできもので、閏月(うるうつき)とも呼びます。ちなみに、閏月は9月だけでなく、それ以外の月にも設けられることがあります。
閏9月がある年は、十五夜と十三夜が2回訪れます。この2回目の十五夜と十三夜を「後の十三夜」「後の十五夜」と呼びます。 二回もお月見していいなんて、なんだか得した気分ですよね。
十三夜には、別の呼び方も存在しています。どのような呼び方をするのか見ていきましょう。
- 豆名月/栗名月
- 後の月
十三夜の別称には「豆名月(まめめいげつ)」と「栗名月(くりめいげつ)」というものがあります。
秋の収穫物である「豆」と「栗」をお月見のお供え物にしたことが名前の由来です。ちなみに同じ理由で、十五夜のことは芋名月(いもめいげつ)といいます。
なんだか食欲の秋らしいおいしそうな名前ですよね。
十三夜には「後の月(のちのつき)」という呼び方もあります。
この呼び方は、十五夜の後に巡ってくる月であることと、十五夜の次に美しい月と言われることからついた名前だといわれています。
ちなみに十三夜にするお月見は「後の月見(のちのつきみ)」と呼ばれます。
- お供え物を用意する
- ススキを飾る
十五夜の月見と同じく十三夜の月見にも、神様に収穫を感謝するためのお供え物を用意します。
お供え物には、13個の月見団子や旬の野菜・果物を並べましょう。たとえば、栗やさつまいも、ぶどうなどが旬を迎える食べ物、他には、豆名月といわれることから、大豆や枝豆を用意するのも良いでしょう。
お月見にはススキを飾る習慣もあります。
ススキは切り口が鋭くなることから魔除けとして扱われたり、茎の内部が空洞であることから神様のよ依り代となると言われていたりします。
ススキは、悪いものから収穫物を守り、翌年の豊作を願うための縁起がいい植物なのです。
十三夜か十五夜のどちらか一方だけ月見をする片見月は、縁起が悪いと言われています。片見月をすると災いが来るともいわれています。
なんだかお月見を祝うのが怖くなってしまう言い伝えですよね。
「収穫は一日にしてならず。」です。だから、この言い伝えには、感謝の心を忘れないで翌年の豊作を祈ろうという意図があるのかしれません。
簡略的にでも両日共にお月見をしてみると、風情を感じつつ日々の生活への感謝の気持ちを改めて感じられるいい日になるかも。
十三夜という言葉は、樋口一葉の小説としても知られています。
樋口一葉の小説『十三夜』は、夫の振る舞いに耐えかねた妻が十三夜(旧暦9月13日)に実家に帰り、説得されて夫の元に帰る途中、昔淡い思いを寄せていた幼馴染と再会し身の上話を聞くことになるという、男女のすれ違いを描いた作品です。
秋に感じる切なさや虚しさを物語に乗せた情感深いお話となっています。気になった方は、読書の秋とも呼ばれる秋の十三夜に合わせて、読んでみてはいかがでしょうか。
十三夜と十五夜は共に、お月様を愛でる日です。昔から続くこの風習は、今だ衰衰えないの風情を感じられるイベントともいえます。
秋の実りを祝う日に合わせて、日ごろの生活を振り返りながら、感謝を込めてお月見をしてみてもいいかもしれませんね。